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Journal lablab
2026.10.24

浜名湖クレソンのおいしさを全国へ。浜松の水と土で育む、地域の恵み。

爽やかな香りと、口に広がるピリッとした辛みが特徴のクレソン。肉料理の付け合わせとして知られていますが、サラダや鍋料理など、毎日の食卓でも幅広く楽しめる野菜です。

浜松市雄踏町で、このクレソンを育てているのが「株式会社 新菜園」の渥美さん。「浜名湖クレソン」として、全国のスーパーやレストランなどへ出荷しています。

地域の水と土を生かした栽培から、鮮度を保って届けるための工夫まで。今回は、渥美さんが大切にされている農業への思いと、その挑戦を支える浜松の環境、そしてマストレとのつながりについてお話を伺いました。

祖父の姿から芽生えた、
農業への思い A passion for agriculture, inherited from my grandfather

浜名湖クレソンのおいしさを全国へ。浜松の水と土で育む、地域の恵み。

渥美さんが農業に興味を持ったきっかけは、幼い頃から身近に見ていた祖父の姿でした。祖父が営んでいた農業を父が受け継ぎ、渥美さん自身も自然と農業の道を志すようになったといいます。

「祖父が農業を楽しそうに、自信を持ってやっていたことが大きかったと思います」

大学で農業の専門知識を学んだ後は、山口県の農薬メーカーに勤務。その後、独立して農業を始めました。

独立当初に栽培していたのは、西洋ネギの仲間である「リーキ」です。雄踏周辺では、かつて浜松西農協の取り組みをきっかけに、リーキなどの西洋野菜の栽培が広がりました。渥美さんも、そうした地域の農業の流れの中で経験を重ねてきました。

浜名湖クレソンのおいしさを全国へ。浜松の水と土で育む、地域の恵み。

その後、取引先への市場調査などを通じて着目したのが、クレソンでした。栽培を始めた頃には、テレビ番組「満天☆青空レストラン」(日本テレビ系)への出演もあり、販路が拡大。事業は軌道に乗っていきました。

現在は、地元の「遠鉄ストア」さんや「ビオ・あつみ」さんをはじめ、首都圏などの全国の販売先へも浜名湖クレソンをお届けしています。

豊かな水と温暖な気候。浜松の環境を生かしたクレソン栽培 Abundant Water and a Mild Climate: Growing Watercress in Hamamatsu

浜名湖クレソンのおいしさを全国へ。浜松の水と土で育む、地域の恵み。

浜名湖クレソンは、土を使った畑に水をかけ流す方法で育てられています。渥美さんによると、イメージはわさび田に近い栽培方法。収穫後も株が再び成長する性質を生かしながら、生産を続けています。

季節に合わせて、露地とビニールハウスを使い分けているのも特徴です。ハウス内の温度が上がりやすい夏は露地栽培を活用し、寒い時期はハウスで育てることで、年間を通じた安定供給を目指しています。

「クレソンは比較的丈夫な植物ですが、年間を通して安定的に出荷し続けるには技術が必要なんです」

その栽培を支えているのが、浜松の豊かな水資源です。

三方原用水をはじめ、地域の農業を支える水利環境は、多くの水を必要とするクレソンの生産にとっても大切な基盤になっています。

「浜松は水があり、物流も整っていて、人も確保しやすい。農業を続けていくうえで、とても恵まれた環境だと思います」

農業を続けていくには、作物が育つ環境に加え、収穫したものを運ぶ仕組みや、働く人の確保も欠かせません。渥美さんの言葉からは、生産と出荷の両面で浜松の環境を生かしていることが伝わってきます。

現在の栽培面積は、畑とハウスを合わせて約9,000㎡。今後は、さらなる生産規模の拡大も予定しています。

土づくりから包装まで。おいしさと鮮度を届ける工夫 From Soil Preparation to Packaging: Preserving Flavor and Freshness

浜名湖クレソンのおいしさを全国へ。浜松の水と土で育む、地域の恵み。

渥美さんが土を使った栽培にこだわるのは、クレソン本来の辛みや風味を引き出したいと考えているからです。

その土づくりに取り入れているのが、地元で養殖されている牡蠣の殻。粉末にした牡蠣殻を肥料として土に加え、クレソンの生育に必要なカルシウムの補給に役立てています。

浜名湖は、ウナギだけでなく牡蠣の産地でもあります。地域の恵みを、地域の農業に生かす。そんな工夫にも、渥美さんのこだわりが表れています。

 

一方で、クレソンは収穫後に傷みやすく、鮮度を保って届けることも大切な課題です。

そこで生きているのが、大学時代に学んだ「収穫後生理学」の知識。収穫した農産物の変化を理解し、品質を保つための学びを、現在の包装方法にも取り入れています。

採用しているのは、特殊なフィルムを使う「MA包装」。包装内の酸素や二酸化炭素の濃度を調整し、野菜の鮮度を保ちやすくする方法です。

浜名湖クレソンのおいしさを全国へ。浜松の水と土で育む、地域の恵み。

「スーパーにとっては、商品が長持ちして、廃棄を減らせることが大切です。鮮度を保つ工夫が、取引先の拡大にもつながりました」

育てる技術に加え、収穫後の管理や販売先での扱いやすさまで考える。その積み重ねが、浜名湖クレソンの販路を広げてきました。

 

渥美さんおすすめの食べ方は、バジルの代わりにクレソンを使ったジェノベーゼ風のソース。肉や魚に添えると、爽やかな香りと辛みが料理のアクセントになります。

サラダや鍋、炒め物などにも取り入れやすいクレソン。付け合わせとしてだけでなく、料理の主役として味わってみると、新しい魅力に出会えそうです。

包装・出荷の拠点づくりを、マストレがサポート Mass Trading Supports the Establishment of a Packaging and Shipping Facility

浜名湖クレソンのおいしさを全国へ。浜松の水と土で育む、地域の恵み。

生産量が増えるにつれ、必要になったのが、収穫したクレソンを包装するための新たな作業スペースでした。これまでは人手をかけて包装していましたが、人件費の上昇なども見据え、機械の導入を検討。ただし、包装機械に使うコンプレッサーには稼働音があり、施設選びでは近隣への影響も考える必要がありました。

そこで候補となったのが、工業団地内にある現在の工場です。

以前、別の土地に関するお手伝いをしたご縁から、今回もマストレにご相談いただき、私、金田が開設に向けた調整を担当させていただきました。

入居にあたっては、新菜園さんの事業内容や、使用する機械について、工業団地の組合に理解していただくことも必要でした。施設の使い方などを説明し、関係者と確認を重ねながら準備を進めてまいりました。

浜名湖クレソンのおいしさを全国へ。浜松の水と土で育む、地域の恵み。

「工場の開設がスムーズに進み、本当に助かりました。近隣の方々にも良くしていただき、ありがたく思っています」

そう言っていただけたことは担当した私にとって、とてもうれしい出来事でした。

この工場は、クレソンを栽培する場所ではなく、収穫したものを包装するための施設です。新菜園さんにとって、必要な機能を備えた、ちょうどよい広さの場所だったと考えています。

農業を支えるのは、作物を育てる農地だけではありません。包装や出荷の作業に適した場所を確保することも、生産性を高め、事業を続けていくための大切な条件です。

今回のお手伝いは、不動産を通じて地域の農業を支える機会にもなりました。

浜名湖クレソンの魅力を、浜松から全国へ Sharing the Appeal of Hamanako Watercress from Hamamatsu with All of Japan

浜名湖クレソンのおいしさを全国へ。浜松の水と土で育む、地域の恵み。

渥美さんが目指しているのは、浜名湖クレソンを、さらに多くの人に知ってもらうことです。

そのヒントを求めて訪れたのが、クレソン栽培の歴史を持つイギリス・ハンプシャー州。

生産の機械化や効率化について情報を集めるとともに、地域に根づいたクレソンの文化にも刺激を受けたといいます。

 

かつてロンドンへのクレソン輸送にも使われた鉄道や、クレソンをテーマにしたフェスティバル。そこには、一つの農産物が地域の歴史や暮らしと結びつき、人を集める風景がありました。

浜名湖クレソンのおいしさを全国へ。浜松の水と土で育む、地域の恵み。
浜名湖クレソンのおいしさを全国へ。浜松の水と土で育む、地域の恵み。

「浜松もクレソンの産地として知られるようになってほしい。地元のサラダには浜名湖クレソンが必ず入っている、そんな存在になれたらうれしいですね」

全国へ届けることと、地元で親しまれること。その両方を見据えながら、渥美さんの挑戦は続いています。

浜松の水と土、浜名湖の牡蠣殻、そして学びと経験から生まれた工夫。浜名湖クレソンには、地域の恵みと、それを生かす人の思いが詰まっています。

いつもの食卓で、そのおいしさを味わうことも、地域の農業との身近なつながりになるはずです。マストレも、事業に合った場所づくりを通じて、こうした挑戦をこれからも支えていきたいと考えています。

浜名湖クレソンのおいしさを全国へ。浜松の水と土で育む、地域の恵み。

今回、渥美さんのお話を伺い、浜松の豊かな自然環境と、そこに暮らす人の知恵や情熱が、地域ならではの魅力を育んでいることを改めて感じました。浜名湖クレソンのおいしさが全国へ届き、浜松の魅力を知るきっかけにもなっていく。その歩みを、事業の拠点づくりを通じてお手伝いできたことを、うれしく思います。

 

私たちが大切にしているのは、不動産をご紹介するだけでなく、その場所でどのような事業を育て、どんな未来を実現したいのかという思いに寄り添うことです。事業者の新たな挑戦を支える一つひとつの仕事が、地域の産業や暮らしの豊かさにつながっていくと考えています。

これからも地域の皆様とのご縁を大切にしながら、浜松の魅力を生み出す人や企業とともに、その可能性を広げるお手伝いを続けていきたいと思います。

syuya kanedakaneda
株式会社マストレ 主任
PROFILE
物事を俯瞰して見ることが得意です。
保有資格: 宅地建物取引士
ゴルフが趣味です!
金田

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