医療機器は、ここまで進化している。現場から見る「低侵襲」と「AI」のいま

注射器から手術まで。病院で使われる「ほぼ全て」を支える仕事 From syringes to surgeries—a role that supports "almost everything" used in hospitals.
病院では、検査や治療、手術など、さまざまな場面で医療機器や医療用具が使われています。
しかし、それらがどこからやってきて、誰が医療現場へ届けているのかは、意外と知られていないのではないでしょうか。
マストレメディカルのメディカル事業部では、医療機器の提案・提供をはじめ、メンテナンスや在宅栄養管理機器のレンタルなど、医療に関わる幅広い事業を展開しています。
その中で私は営業として、病院で必要となるさまざまな医療機器・医療用具の提案や納品を担当しています。
入社して12~13年ほどになりますが、前職も医療関係の製造業でした。手術で使用するチューブなどの製品づくりに携わっていたので、医療業界との付き合いは長いですね。
現在担当しているのは、グループ病院である「すずかけセントラル病院」です。
注射器のように日常的に使用するものから、手術に関わる専門的な機器まで、病院で必要となる幅広い製品を扱っています。
今回は、そんな医療機器の最前線を日々見ている立場から、「最近の医療機器は、どこまで進化しているのか?」についてお話ししたいと思います。
医療機器の進化を象徴する「低侵襲」と「AI」 The keywords are "minimally invasive" and "AI."
最近の医療機器のトレンドをひと言で表すなら、大きく「低侵襲(ていしんしゅう)」と「AI」の2つだと思います。
まず「低侵襲」ですが、これは、手術や検査に伴う痛みや出血、傷などをできるだけ少なくし、患者さんの身体的な負担を軽減する考え方です。
医療機器そのものの小型化や高性能化はもちろん、新しい術式の登場によっても、さまざまな治療が低侵襲になっています。
もうひとつが、みなさんも日常的に耳にするようになった「AI」です。
医療の世界でもAIを活用した診断支援はどんどん進んでいます。
例えば画像診断の際に、AIが「ここに病変がある可能性があります」と目星をつけ、医師の診断をサポートしてくれるような機器も登場しています。もちろん最終的に診断するのは医師ですが、経験の浅い若い先生にとっては非常に心強い存在だと思います。ベテランの先生になると、AIが指摘するようなところも「見ればわかる」という方が多いんですけどね(笑)。
また、深夜の救急外来などで専門外の医師が診察しなければならない場合にも、AIによる診断支援があれば、判断材料のひとつになります。
「低侵襲」と「AI」。
最近は新しい医療機器を見ると、このどちらか、あるいは両方が関係していることが多く、もはや最新トレンドというより「当たり前」になりつつある印象すらあります。
特に、新しく開業するクリニックなどでは、こうした最新鋭の設備を積極的に導入しています。
反対に、長い歴史を持つ総合病院などでは「これ、まだ現役なの!?」と驚くくらい昔の機器が使われていることもありますけど(苦笑)。
痛くない乳がん検診から、スマホを活用した医療DXまで From painless breast cancer screenings to medical digital transformation (DX) utilizing smartphones.
私が現在担当しているすずかけセントラル病院でも、こうした新しい医療技術が導入されています。
そのひとつが、MRIを活用した「無痛MRI乳がん検診(DWIBS法)」です。
乳がん検診というと、乳房を圧迫して撮影するマンモグラフィを思い浮かべる方が多いと思いますが、MRIを利用した検査では、乳房を強く圧迫する必要がありません。
そのため、痛みが少なく、服を着たまま検査を受けられるなどの特徴があります。
また、進化しているのは治療や検査に使う機器だけではありません。
病院で働く医師や看護師などを支える、医療機関向けのソリューションシステムも大きく変化しています。例えば、これまで院内PHSや専用端末で行っていた業務の一部を、スマートフォンに集約する仕組みです。
スマホでナースコールを受信したり、必要な情報を確認したりと、院内での情報共有をよりスムーズにするシステムが登場しています。
医療の現場というのは、患者さんへの対応はもちろん、記録や連絡、情報共有など、とにかくやるべきことが多い世界です。
だからこそ「機器を新しくする」だけではなく、医療従事者が少しでも効率よく働ける環境をつくることも重要になっています。
私たち営業にとっては、さまざまなメーカーから次々と登場する新製品やシステムの情報をつねにキャッチして、「この病院なら、こういう使い方ができるのでは?」と考えることも大切な仕事のひとつです。
「これがペースメーカー?」小型化が進む医療機器 It's this small?! I'm amazed at the evolution of pacemakers!
医療機器の進化を強く感じたもののひとつが、ペースメーカーです。
すずかけセントラル病院を担当する以前、私は長く聖隷浜松病院を担当し、PCI(経皮的冠動脈インターベンション)やステント、ペースメーカー、アブレーションなど、主に循環器分野に関わっていました。その中でも、ペースメーカーの進化には驚かされました。
現在のペースメーカーは、以前と比べて小型・薄型化が進み、電池寿命も長くなっています。機種や使用状況によって異なりますが、10年以上の使用を想定したものもあります。
体内に埋め込む機器ですから、小型化は患者さんの違和感や負担の軽減につながります。また、長寿命化によって交換手術の回数を減らせる可能性があることも、大きな進化です。
さらに印象的だったのが「リードレスペースメーカー」です。
一般的なペースメーカーは胸部に本体を植え込み、そこから「リード」と呼ばれる電線を心臓へつなぎます。
一方、リードレスペースメーカーは、カプセルのような小さな本体をカテーテルによって心臓まで運び、心臓内に直接留置します。
初めて実物を見たときは、「これがペースメーカーなの?」と本当に驚きました。
医療機器に長く携わってきた私でもそう感じるほど、この10年ほどの技術の進歩は大きいですね。
新しい治療法が、医療機器そのものを変えていく New surgical techniques are transforming medical devices.
医療機器というのは、単に「昨日より小さくなった」「性能が良くなった」というだけで進化するわけではありません。新しい治療法や術式が登場することで、それまでとはまったく違う機器が必要となり、一気に業界の流れが変わることがあります。
循環器分野で代表的なのが「TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)」です。
心臓には血液の逆流を防ぐための「弁」がありますが、その機能が悪くなった場合、かつては胸を開く外科手術によって人工弁に置き換える治療が中心でした。
しかし現在では、患者さんの状態などによって、カテーテルを使って人工弁を留置するTAVIという選択肢があります。
これもまさに「低侵襲化」ですよね。
胸を大きく開く治療から、できるだけ小さな傷で行う治療へ。
そうやって術式そのものが変化すれば、それに合わせて必要となるカテーテルやデバイスなども変わっていきます。
だから、この先10年で医療機器がどうなっているかというのは、私にも正直わかりません(笑)。
革新的な治療法がひとつ登場しただけで、それまでの常識が大きく変わる可能性がある世界だからです。
それだけに、先ほども述べましたが、メーカーから発信される新製品や新技術の情報をつねに集め、医療現場で何が起きているのかを把握していくことが、この仕事の面白さであると思っています。
医療機器を届ける、その先まで考える Sales capabilities that cater to every medical specialty.
現在の私にとって新たな挑戦となっているのが、すずかけセントラル病院を担当することです。
これまでは循環器分野を長く担当してきたため、PCIやペースメーカーなどについては知識と経験を積み重ねてきました。
しかし、すずかけセントラル病院では、ひとつの診療科だけではなく、さまざまな診療科で使用される医療機器や医療用具に対応する必要があります。
これまで扱う機会の少なかった分野には、まだまだ知らないこともたくさんあります。
だからこそ、営業としてもう一段階成長できる機会だとも感じています。
循環器だけでなく、さまざまな診療科について知識と経験を増やし、「新村に聞けば何とかなる」と思っていただける存在になることが、今の目標です。
そして、医療現場を日々見ていると、「この業務はもっと効率化できるのではないか」「この作業はもっとスムーズにできるのではないか」と感じる場面もあります。
医療機器を届けるだけではなく、現場が抱える課題に目を向け、新しい機器やシステムによって解決のお手伝いをしていく。
医療機器が進化するほど、私たちに求められる知識や役割も変わっていきます。
新しい技術や治療法に目を向けながら、その先にいる医療従事者や患者さんのことまで考える。
そんな「医療現場と技術をつなぐ存在」として、これからも地域の医療を支えていきたいと思っています。
- PROFILE
- 中学生の頃から新日本プロレスの大ファン! 好きが高じて、かつては総合格闘技のジムに通い、大会にも出場していました。
