地域と共に歩む「ケアプランセンター卸本町」の支援のかたち

新たな拠点でのスタート Starting at a new location
ケアプランセンター卸本町はその名のとおり、浜松市南部に位置する卸本町の「ほんまちビル」内に拠点を構え、長年地域の皆さまと関わりながら運営してきました。しかし、建物の耐震性に課題があることが分かり、安全面を最優先に考えた結果、やむを得ず移転を決断することとなりました。
卸本町は、徐々に個性的なお店が増え、地域としての盛り上がりを見せていました。定期的に開催される「アリー」という大規模なマルシェイベントでは県外からも多くの人が訪れ、ほんまちビルも会場の一つとなっていたため、私自身も来場者の一人として楽しませていただいたことを覚えています。
長く親しんできた場所であっただけに、スタッフ一同にとって移転は大きな決断でした。
また、街並みが大きく変わっていく中で、名残惜しさを感じながらの転機でもありましたが、新しい拠点は旧南区エリアの利用者様が多いことを踏まえ、よりアクセスしやすい場所として浅田町を選びました。
私自身は、新卒で介護施設に就職し、数年間は介護士として勤務してきました。現場で経験を重ねる中で、「在宅で生活されている方の支援にも関わってみたい」という思いが芽生え、ケアマネジャーの資格を取得いたしました。
その後、マストレメディカルへ入社し、今年で8年目を迎えます。
ケアマネジャーの役割とチームでの支援 Care manager's role and team support
現在ケアプランセンター卸本町には、4名のケアマネジャーが在籍しています。地域包括支援センターや医療機関と連携しながら、利用者様やそのご家族と面談を行い、一人ひとりの状況に応じたケアプランを作成しています。
訪問介護やデイサービスなど、必要なサービスを適切に組み合わせ、安心して生活していただけるよう支援することが主な役割です。また、各事業所や施設との連絡・調整も重要な業務の一つであり、それぞれのケアマネジャーが責任を持って利用者様を担当しています。
ケアマネジャーは基本的に一人で一人の利用者様を担当しますが、実際には決して一人で支えているわけではありません。複雑なケースでは判断に迷うことも多く、そのような時には同僚や地域包括支援センターに相談し、より良い方法を模索します。また、各サービス事業所や施設とも密に情報共有を行い、チームとして支援にあたっています。
利用者様とご家族、それぞれの想いに向き合う Addressing the individual needs of users and their families
日々の支援の中で感じるのは、「利用者様とご家族、それぞれの思いが必ずしも一致するとは限らない」ということです。
例えば、ご家族としてはデイサービスの利用が望ましいと考えていても、利用者様ご本人は「知らない人の中に行きたくない」「集団が苦手」「外出そのものが負担」と感じることも少なくありません。本来、外出や人との関わりは良い刺激となり、心身の維持にもつながりますが、実際にはその一歩を踏み出すことが難しい方も多くいらっしゃいます。
利用者様一人ひとり、価値観や生活環境は大きく異なります。
「何を大切にしたいのか」も千差万別であり、その違いに日々向き合うことが、ケアマネジャーの仕事の難しさでもあり、やりがいでもあります。「こうした方が良いのに」と感じる場面でも、利用者様にとってはそうではないこともある。
そのギャップに戸惑うこともありますが、それぞれの思いを尊重しながら支援することの大切さを実感しています。
仕事を始めたばかりの頃は、「将来、自分が同じ状況になったらどうなるのだろう」と不安を感じることもありましたが、「これはあくまでその方の人生であり、自分とは異なるケースである」と捉え、一歩引いた視点で冷静に状況を見ることを意識しています。
「納得」を一番に考えた支援 Support that emphasizes “satisfaction”
サービス導入において大切なのは、利用者様の「納得」だと考えています。
どれほど有益なサービスであっても、ご本人が受け入れられなければ継続は難しくなります。そのため、すぐに結論を出すのではなく、繰り返し提案を行いながら、適切なタイミングを待つことも重要な支援の一つです。
例えば入浴支援一つをとっても、自宅と施設では環境が大きく異なります。
安全面の配慮や介助の負担を考えると、デイサービスの利用が望ましいケースもありますが、「それなら、お風呂は入らなくてもいい。」という方も時々いらして(笑)、困ってしまうこともあります。
そうした場合でも決して無理に勧めるのではなく、対話を重ねながら信頼関係を築いていくことで、少しずつ前向きな変化につながることもあります。
要支援の方は3か月に1回、要介護の方は月に1回の訪問を通じて、継続的に関係性を深めています。
関わりの中で生まれる前向きな変化 Positive Change That Emerges Through Engagement
これまでの支援の中で、特に印象に残っているのが、「施設は利用したくない」と強く拒まれていた利用者様のケースです。
何度も足を運び、時間をかけて丁寧に説明を重ねていく中で、少しずつお気持ちに変化が生まれました。最終的には通所サービスの利用を受け入れてくださり、現在では楽しみながら通われています。リハビリにも積極的に取り組まれ、その結果、歩行状態の改善にもつながりました。
このように、関わりを重ねることで前向きな変化が見られたとき、ケアマネジャーとして大きなやりがいを感じます。
また、訪問看護の導入によって「安心して在宅生活を続けられるようになった」とのお声をいただくことも少なくありません。利用者様やご家族の不安が和らぎ、表情が穏やかになっていく様子を見るたびに、この仕事の意義を実感します。
ケアマネジャーは、支援全体を俯瞰しながら調整を行う役割を担っています。看護師やヘルパー、デイサービス職員など、それぞれの専門職が連携することで、より良い支援が実現します。
日々の生活に密接に関わる現場の皆さんに支えられていることを、強く実感しています。
変化の中でも、変わらない支援を Steadfast Support in Times of Change
近年は新規のご相談も増えており、高齢化の進行を日々実感しています。
ケアマネジャー1人あたりの担当件数は国で定められていますが、一件一件の支援の質を維持するためにも、自身が責任をもって対応できる範囲を見極めながら担当させていただいています。
業界全体にも、さまざまな変化が生まれています。その一つが「ケアプランデータ連携システム」の導入です。これは、居宅介護支援事業所と各介護サービス事業所との間でやり取りされる書類をデータ化し、効率的に共有する仕組みです。
文書作成や情報共有の負担軽減が期待されており、人手不足が課題とされる介護業界において重要な取り組みといえます。当センターでも導入を予定しており、今後はこうしたITの力も活用しながら、より良い支援体制を整えていきたいと考えています。
一方で、どれだけ仕組みが進化しても、利用者様のもとへ足を運び、直接お話を伺うことの大切さは変わりません。現場でしか感じ取れない表情や空気感を大切にしながら、これからも丁寧な支援を続けていきます。さまざまなケースに向き合い、経験を積み重ねる中で、自身の引き出しをさらに増やしていきたい。一つひとつの支援の積み重ねが、利用者様とご家族にとって最善の選択につながると信じています。迷うことがあっても、専門職の皆さまに支えていただきながら、これからも誠実に、地域とともに歩み続けていきます。現場で得られる情報や空気感を大切にしながら、丁寧な支援を続けていきたいと思っています。
これからもさまざまなケースに向き合い、経験を積み重ねていく中で、自身の引き出しを増やしていきたいと考えています。
一つひとつの支援の積み重ねが、利用者様とご家族にとって最善の選択につながると信じています。
迷いながらも、専門職の皆さまに支えていただきながら、これからも誠実に取り組んでいきたいと思います。
