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Journal lablab
2026.01.14

佐鳴湖の畔で育む、“王道”ケーキと丁寧な暮らし

浜松市の西側、四季折々の表情を見せる佐鳴湖。その穏やかな湖畔の近くに、地域の人たちの日常にそっと寄り添う洋菓子店があります。パティスリー 「Le Temps(ル・タン)」。流行を追いかけるのではなく、誰もが「おいしい」と感じる王道のケーキを、丁寧につくり続けるお店です。

この場所でル・タンが生まれるまでには、理想の味と同じくらい、「どこで、どんな暮らしの中でお店を続けていくか」という大切な選択がありました。そしてそのお店づくりに伴走させていただいたのが、マストレの不動産部でした。

佐鳴湖の畔にある、小さなパティスリー A small patisserie on the shores of Lake Sanaru

佐鳴湖の畔で育む、“王道”ケーキと丁寧な暮らし

佐鳴湖のほとり、南岸にほど近い静かなエリアに佇む洋菓子店 「Le Temps(ル・タン)」。
白壁のシンプルな外観に、やわらかな存在感を放つサックスブルーの扉が印象的で、通りを歩いていると自然と視線が引き寄せられます。主張しすぎることはないのに、「ここに、いいお店がある」と感じさせてくれる佇まいです。

お店がオープンしたのは、2016年11月。
季節の移ろいを身近に感じられるこの場所で、ル・タンは地域の暮らしに少しずつ溶け込みながら、日常のおやつや特別な日のケーキを届けてきました。

店を切り盛りしているのは、女性パティシエの飯田さんと、主に接客を担当される谷口さんのお二人。
厨房でお菓子づくりに向き合う飯田さんと、お客様一人ひとりと丁寧に言葉を交わす谷口さん。それぞれの役割を大切にしながら、無理のない距離感と心地よいチームワークでお店を支えています。

ケーキの味わいだけでなく、店内に流れる穏やかな空気感も、ル・タンの魅力のひとつ。
佐鳴湖の景色と同じように、ゆったりとした時間がここには流れています。

“おいしい”の、その先で生まれた違和感 A Sense of Discomfort Born Beyond ‘Delicious’

佐鳴湖の畔で育む、“王道”ケーキと丁寧な暮らし

ご存知の方も多いかもしれませんが、飯田さんと谷口さんのお二人は、以前、浜松市中央区志都呂で 「コムギコキッチン」 という洋菓子店を営まれていました。
地元で採れた野菜や素材を取り入れたスイーツが並ぶそのお店は、個性と温かみのある存在として知られ、メディアから取材を受ける機会も少なくなかったといいます。

ショーケースに並んでいたのは、あくまで「おいしい」と思えるものを丁寧につくったお菓子たち。
素材選びも、表現も、すべては味を基準にしたものでした。

佐鳴湖の畔で育む、“王道”ケーキと丁寧な暮らし

ただ、その一方で、谷口さんは当時をこう振り返ります。
「コムギコキッチンでは、ある時から少しずつ違和感を感じるようになっていました」

純粋においしさを追求した結果として生まれた野菜のケーキが、いつの間にか「健康志向のケーキ」「ダイエット中でも罪悪感なく食べられるケーキ」といった文脈で語られるようになっていったのです。本来は、素材が先にあるのではなく、味が先にある。
そうして積み重ねてきた仕事が、時代の空気や流行によって、少しずつ別の意味をまとっていく。
そのズレに気づいたことが、お二人にとって大きな転機となりました。

素材ありき、味ありきで続けてきた仕事が、時代の空気や流行によって別の意味をまとっていく…
コムギコキッチンでのそんな経験が、次の店づくりを考えるヒントになったそうです。

テナントの先に描いた、次のかたち he Next Form Envisioned Beyond Tenants

佐鳴湖の畔で育む、“王道”ケーキと丁寧な暮らし

ル・タンの構想は、コムギコキッチンをテナントで営業していた頃から始まりました。
「毎月家賃を払い続けるなら、いっそ建物を建てた方がいいのではないか?」そんなよくある発想が出発点でした。
構想をカタチにするための第一歩として、まずは土地探しから取り掛かることにしようと考え、相談相手として最初に声をかけたのが同じ佐鳴湖周辺エリアに本社を構える不動産会社のマストレでした。
エリアや広さなど、そこまで具体的な希望はなかったのですが、「ある程度人通りや車通りがあり、常に店の存在に気づいてもらえる場所」という要望は伝えたそうです。
しかし、なかなか「ここだ!」という土地が見つからず、結果として2年近い時間がかかりました。それでも、状況の共有や途中経過の報告は欠かさず、話が止まってしまうことはなかったそうです。
転機となったのは、建物を手掛ける建築会社からの一本の紹介。
「売却はできないが、借地としてなら可能」という条件付きではありましたが、立地も予算も現実的で、話は一気に進みました。
「土地探しでは正直苦労しましたけど、それでもマストレさんへの信頼は変わりませんでしたね」。
途中で担当者が何度か変わることもありましたが、案件内容はきちんと引き継がれ、親身になって対応してくれたので、それが信頼につながったと言います。
実際、お店のオープン後も、谷口さんが住む中古住宅や飯田さんが暮らすマンション探しなど、仕事とプライベートの両方でマストレのサポートは続いていたそうです。

王道の中にある、ル・タンだけの味わい A taste unique to Le Temps, located on the royal road.

佐鳴湖の畔で育む、“王道”ケーキと丁寧な暮らし

「ル・タンの特徴は?」との問いに、谷口さんは即答します。
「特徴がないことです(笑)」。
目指したのは、とことん王道の、真面目な洋菓子づくり。
業界の流行を追いかけるのではなく、パティシエ・飯田さんの感性と、女性ならではの目線を大切にした「真面目な、真面目な」お菓子づくりです。
ガラス越しのショーケースには、常時15種類ほどの生ケーキが並び、その向いには、こちらも王道のラインナップで構成された焼き菓子たち。
人気商品は、季節のフルーツを使ったタルト類と、オープン当初からの定番であるダブルチーズケーキです。
一見すると「どこにでもありそう」なケーキですが、ひと口食べると、その印象は変わります。
派手さはないけれど、繊細な甘みがやさしく広がっていくような、奥行きのあるおいしさ。
それがル・タンのケーキです。

佐鳴湖の畔で育む、“王道”ケーキと丁寧な暮らし

そんな“ル・タンらしさ”を支えているのが、生クリーム。
一般的な、ねっとりと濃厚なタイプとは異なり、最初は「ん?」と思うほど、軽く、さっぱりとした口当たり。
「乳脂肪分をできるだけ低くしているので、新鮮な生乳に近い感じなんです。
『生クリームは苦手だけど、ル・タンのは食べられる』と言ってもらえることも多いですね」。
保持力が弱く、扱いに手間がかかるため、他店では敬遠されがちなクリーム。
それでも「本当のおいしさを知ってもらいたい」という思いから、このスタイルを貫いています。
「そもそも、飯田さんが濃い味が好きじゃないので」。
そう笑う谷口さんの言葉にも、この店の空気感がにじみ出ているように感じました。
加えて、話を聞いていて感じるのは、ル・タンの根底にあるブレない価値観です。
「自分たちのペースで仕事をすること」「非効率でも、納得できるお菓子をつくること」、そして「ファンになってくれたお客様を大切にすること」。
そのひとつひとつを丁寧に積み重ねてきた結果が、今のル・タンなのだと感じます。

これからも“顔が見える関係性”を We will continue to maintain “face-to-face relationships”

佐鳴湖の畔で育む、“王道”ケーキと丁寧な暮らし
佐鳴湖の畔で育む、“王道”ケーキと丁寧な暮らし

現在、ル・タンの主な客層は40~50代。
流行や見た目に左右されず、本質を大切にする世代が、この店のファンになっています。
最後に今後の展開について尋ねると、谷口さんはこう話してくれました。
「今は何でもオートマチックな時代ですが、だからこそ、人とのつながりを大切にしたい。
ご来店いただいた方と、ひとことふたこと言葉を交わせる。
そんな関係を、これからも大切に続けていけたらと思っています」。

 

佐鳴湖のほとりで、時間をかけて育まれてきた小さな洋菓子店。
流行に急がす、人との関係を大切にしながら、できることを丁寧に積み重ねていく。
そのスタンスは、この場所で長く不動産業と向き合ってきたマストレの姿勢ともどこか重なります。
ル・タンは今日も、変わらないリズムで、その扉を開いています。

佐鳴湖の畔で育む、“王道”ケーキと丁寧な暮らし

【PATISSERIE Le Temps(洋菓子 ル・タン)】

浜松市中央区入野町8864-1
053-449-5530
火曜・不定休
10:00~19:00(土日~18:00)
P5台

Instagram:https://www.instagram.com/letemps1111/

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