住宅展示場に生まれた、唯一無二のレストラン「Bistorante
Unico」がつくる特別な時間

築30年の住宅展示場に、新しい役割を A New Role for a 30-Year-Old Show Home
「この建物を、もっと活かすことはできないだろうか。」
そんな想いが、Bistorante Unicoさんとの物語の始まりでした。
浜松市大平台にある花みずき工房の本社住宅展示場は、築30年を迎える建物です。今も現役の展示場として使われていますが、年月とともにその使われ方も変化し、以前に比べて活用する機会が少なくなっていました。
せっかく長く大切にしてきた建物だからこそ、壊したり、役割を終わらせたりするのではなく、今ある空間を活かしながら、新しい使い方ができないだろうか。そんなことを考えていた頃、知人を介して出会ったのが、オーナーシェフのルカスさんでした。
当時ルカスさんは、すでに別の場所で「Bistorante Unico」を営んでいました。紹介をきっかけに実際に料理をいただいてみると、一皿一皿に丁寧な仕事が施され、その味わいはもちろん、料理に向き合う真摯な姿勢にも惹かれるものがありました。
「この人なら、この場所をもっと魅力的に活かしてくれるかもしれない。」
そこで花みずき工房から、住宅展示場の空間を活用し、ここでbistorante unicoを営んでみないかと提案させていただきました。
移転には、新たな店舗の改装費に加え、毎月の家賃などさまざまな負担が伴います。そこで一般的な賃貸という形ではなく、レストランとして必要なリフォーム費用を少しずつ負担してもらう方法を選びました。
築30年の建物を、これからも活かしていきたいという想い。そして、自分らしい料理を届ける場所を育てていきたいという想い。
それぞれの想いが重なり、現役の住宅展示場に「bistorante unico」という、もう一つの役割が加わることになりました。
「友達の家に招かれたような」レストランに A Restaurant That Feels Like Home
住宅展示場をレストランとして活用するにあたり、ルカスさんが大切にしたのは、この建物がもともと持っていた「住宅らしさ」でした。
一般的なレストランのように、店舗として一から空間をつくり込むのではなく、長年住宅展示場として使われてきた建物の雰囲気を活かしながら、必要な部分に手を加えていく。花みずき工房によるリフォームも、そんな考え方をもとに進められました。
ダイニングとして使われているのは、かつてリビングやダイニングとして家づくりを紹介していた空間。木の質感や窓から差し込む光、庭の緑など、住宅としてつくられた場所ならではの穏やかな空気が、今ではUnicoの心地よさの一部になっています。
「友達の家に招かれて、そこで美味しい料理を楽しんでいるような感覚にしたかったんです」
ルカスさんが目指したのは、格式ばったレストランではなく、肩肘を張らずに料理と時間を楽しめる場所でした。
住宅展示場だからこそ生まれる、どこか懐かしく、落ち着いた距離感。その空間にレストランという新しい役割が加わったことで、一般的な店舗とは少し違う、Bistorante Unicoならではの居心地が生まれています。
一日数組だからこそ、できること The Luxury of Taking Time
Bistorante Unicoは、完全予約制。一日に迎えるお客様の数をあえて限り、一組一組と丁寧に向き合うスタイルを大切にしています。
たくさんのお客様を迎えることよりも、目の前のお客様にきちんと料理を届け、料理はもちろんその時間まで楽しんでもらうこと。その考え方は、ルカスさんの店づくりの根底にあります。
予約の際には、苦手な食材やアレルギーはもちろん、記念日なのか、家族での食事なのかといった、その日の背景にもできる限り耳を傾けます。同じコースであっても、訪れる人や季節によって少しずつ表情が変わるのも、Unicoならではです。
そして、少ない組数だからこそ生まれるのが、料理人とお客様との近い距離感です。
料理をつくるだけでなく、その日の食材や一皿に込めた意図を伝え、お客様の表情や反応にも目を配る。必要以上にかしこまることなく、けれど料理にはきちんと手をかける。その距離感は、前の段落で触れた「友達の家に招かれたような」居心地にもつながっています。
効率を求めれば、もっと多くのお客様を迎えることもできるのかもしれません。
それでも、一日に迎えられる人数を限る。
そこには、一皿の料理だけではなく、その場所で過ごす時間そのものを大切にしたいという、ルカスさんの想いがあります。
食材の価値を、料理人の仕事で引き出す Bringing Out the Best in Every Ingredient
Bistorante Unicoの料理には、もうひとつ大切にしている考え方があります。
それは、高価な食材を使うことだけが、特別な料理ではないということ。
もちろん、旬の魚介や肉、季節の食材など、その時々で良いものを選ぶことは大切です。しかしルカスさんがより大切にしているのは、素材そのものの価値に頼るのではなく、料理人の手によって、その魅力をどこまで引き出せるかということです。
火を入れる。寝かせる。組み合わせる。ソースをつくる。
一つひとつは料理の基本ともいえる仕事ですが、そこに時間と手間を惜しまず重ねることで、見慣れた食材からも思いがけない味わいや表情が生まれます。
「高級な食材を使えば、美味しい料理になるというわけではありません。料理人がきちんと仕事をすることで、食材の価値をもっと引き出せると思っています」
そんなルカスさんの考え方は、Unicoで供される一皿一皿にも表れています。
華美に飾るのではなく、素材と向き合い、必要な仕事を丁寧に積み重ねる。その先にあるのは、食べた瞬間の驚きだけではなく、「これは何だろう」「どうやってつくっているんだろう」と、自然と会話が生まれるような料理です。
考えてみれば、それはこの場所の成り立ちにも、どこか似ているのかもしれません。
築30年の住宅展示場を壊して新しいものをつくるのではなく、今ある建物の良さを見つめ直し、手を加えることで新しい価値を生み出す。
建物と料理。まったく異なるものですが、Bistorante Unicoには、「今あるものの魅力を引き出す」という共通した考え方が流れています。
料理をつくった本人が、料理を届ける From the Kitchen to the Table
さらにunicoでは、料理だけでなく、その一皿がお客様のもとへ届くまでの時間も大切にしています。
料理を運び、食材や調理法について説明するのもルカスさん自身です。
「一流のサービスマンなら、もちろん素晴らしい説明ができます。
でも、実際につくった人間だからこそ話せることもあると思っています」
なぜこの食材を選んだのか。
どんな調理をしたのか。どこを味わってほしいのか。
料理人自身の言葉を聞いてから口にすることで、一皿の印象もまた変わります。
そして、そのやりとりをきっかけに自然と会話が生まれ、お客様との距離も近づいていきます。
食後の何気ない会話や、お客様を見送る時間も大切にする。

そうした一つひとつの積み重ねが、「またここに来たい」という気持ちにつながっているのでしょう。
食器やカトラリーにも、そんな「食事の時間を楽しんでもらう」ための工夫があります。
作家ものをはじめとした個性的な器を取り入れ、ときにはお客様自身が使う器を選べることも。
何を食べるかだけでなく、何に盛られ、誰とどんな時間を過ごすのか。
そのすべてを含めて、Unicoでの食事となるのです。
ひとつの建物に、もうひとつの役割を One Place, Another Purpose
築30年を迎えた住宅展示場と、一人の料理人との出会いから始まった、Bistorante Unicoの新しい物語。
住まいの魅力を伝えるためにつくられた場所は、その役割を今も担いながら、レストランというもうひとつの顔を持つようになりました。
新しいものをつくるのではなく、今ある建物の良さを見つめ直し、必要な手を加えながら、新しい使い方を重ねていく。
そこにルカスさんの料理が加わったことで、この場所にはこれまでとは違う時間が流れるようになりました。
記念日の食事を楽しむ人。大切な人とゆっくり料理を味わう人。遠方からルカスさんの一皿を目当てに訪れる人。
かつて家づくりを考える人たちが訪れていた住宅展示場に、今ではさまざまな目的を持った人たちが集い、それぞれの時間を過ごしています。
建物の価値は、完成したときに決まるものではないのかもしれません。
年月を重ね、使う人が変わり、新しい役割が加わることで、その場所にしかない価値が少しずつ育っていく。
住宅展示場とレストラン。
一見すると異なる二つの役割が自然に重なり合うこの場所は、まさに「Unico」という言葉の通り、ほかにはない唯一無二の場所になりつつあります。
そしてこれからも、ルカスさんの料理とともに、この築30年の建物には新しい時間と物語が重ねられていくのでしょう。
【bistorante_unico(ビストランテ ウニコ)】
浜松市中央区大平台2丁目48-33 花みずき工房 本社展示場1階
営業時間:11:30〜14:30 (最終入店 13:00) 18:00〜23:00 (最終入店 21:00)
定休日:不定休
駐車場:3台(無料)※第2駐車場あり
- PROFILE
- 浜松生まれ、磐田育ちですが、浜松での暮らしのほうが長くなりました。家づくりにおいてはお客様に寄り添い、ご自身では気づかなかったこともご提案できればと心掛けております。
